1.はじめに |
|
まずはじめに受講生の皆様に自己紹介をしていただき、その後ISO統合化にどんなイメージを持っているかなどのディスカッションを行いました。これは、研修前に各自がお持ちのイメージをアウトプットすることによって、問題意識を顕在化していただくことが目的です。
研修前の事前アンケートにご協力していただいたのも同じ理由からです。事前アンケートでは、ISO統合化に関して抱いている疑問点や問題点などを書いていただき、講師はできるだけ研修中にフォローできるようにしました。最後に、このアンケートの質問等に対して講師がコメントを書いて、受講者にお返ししました。
『研修前に、自分が持っている問題点や疑問点を洗い出そう』
|
|
2.ISO統合化の留意点の解説 |
午前中は統合化に関する基本的な考え方や留意点などの講義を行いました。「講義」と言えども、適宜受講者からの質問があったり、講師が各組織における統合化状況を質問するなど、双方向の講義スタイルになりました。
統合化において、成功するポイントは「効率化につながらない統合はしない」ことです。統合することが目的になっていませんか?審査のためになっていませんか?自己満足になっていませんか?これらのことをもう一度考えてみて、本当に現場のことを考慮しているか、自社の経営にあっているか、などを再考する必要があります。
統合の本来の目的は、統合化・簡素化することによって、マネジメントシステムを改善することです。これは統合化だけではなく、ISO全般に言えるため、運用前の段階で根本的に見直す必要があるでしょう。
『効率化につながらない統合はしない』
|
|
|
3.製造業における統合化の成功事例と失敗事例の紹介
|
|
現在、ISOに関する多くの書籍や雑誌などで統合化の成功事例が紹介されています。しかし、同じことが自社に適応するとは限りません。成功事例の大半は「サービス業」です。サービス業と違って、「製造業」は「製品実現」に時間と手間がかかり、環境面の負荷が高いという側面があります。したがって、そのような背景を理解せず、安易に真似ることは危険です。
『成功事例に振り回されないようにしよう』
また、同じ製造業であっても、QMSで成功している会社もあればEMSで成功している会社もあります。自分の会社では、どちらをベースにすればよいのか自社状況や経営方針を確認し、決定することが大切です。もし、実際の運用に支障をきたすようであれば、ベースを変えることも可能です。実際、QMSベースで挫折し、EMSベースで再構築して成功した企業もあります。
『QMS or EMSのどちらをベースにするかは、自社状況を確認』
|
|
4.統合運用のための準備と手順 & 統合化の効果を上げるための重要ポイント
|
統合化を成功させるためには、トップのマネジメント意識を高める必要があります。「統合マネジメント」は「経営マネジメント」であると認識しなければなりません。
また、 「品質部門」「環境部門」というように組織を分けている企業も多いと思いますが、統合を考える場合、組織も一つにまとめる方が統合しやすいでしょう。機能分化している組織があるならコアな担当部署を選ぶ、もしくは新しくプロジェクト・チームを作るというのも、一つの手です。
内部監査員の教育に関しては、社外及び社内で専門教育を受けることが有効です。ここで注目すべきことは、内部監査員研修は事実上、「被監査者研修」の役割も担うということです。内部監査員だけでなく、被監査者教育を行うことによって、審査を受ける事前シミュレーションが可能になり、マネジメントシステム全体のレベルアップが図れます。
『内部監査員+被監査者教育で全体のレベルアップを目指そう』
|
|
|
5.(実践演習)統合システムのマニュアルを検討する |
|
午後からは主にグループワークを中心に研修を進めていきました。ワークショップ1では、QMSとEMSの規格要求事項を参考にして、統合マニュアルの目次を作成していただきました。IMS(統合)に関してはQMSやEMSと違って、規格要求事項がないので、その2つ(品質&環境)を統合した規格要求事項に適合しているかどうかが審査の対象になります。
『IMSの規格要求事項はないため、自社に適した目次を作成しよう』 |
|
6.(実践演習)ISO9001&ISO14001の文書・記録様式の統合検討 |
ワークショップ2では、QMSとEMS個々の文書・記録類の共通部分と個別部分の検討をしていただきました。
ここでのポイントは、同じ名称だからという理由で文書・記録類を統合しようとすると、運用面で弊害が生じる危険性があるということです。この場合、実務ベースで考えることを意識しなければなりません。
また、統合化においては、「スリム化」を図ることが重要です。つまり、統合する前に「この文書(記録)は必要なのかどうか」を再考しなければなりません。人は「目の前にあるもの(文書・記録・マニュアル等)」から手をつけたくなりますが、「目に見えないもの(運用面など)」にも注意を向ける必要があります。そして、「目に見えるもの」が本当に必要かどうかを今一度考え、必要でない文書・記録類はその内容をマニュアルに組みこむことで削減してスリム化することが重要です。
『同じ名称という理由で、文書・記録類を統合してはならない』
|
|
|
7.質疑応答&閉講 |