「コミュニケーションの工夫で、部下と組織はここまで変わる!」 業績向上に社員のモチベーション・アップは欠かせません。そのモチベーションを高めるためにコミュニケーション技術が「コーチング」。部下のやる気を引き出し、いかに能力を発揮させるかは、管理者としての腕の見せ所であり、逆にコミュニケーション力に欠ける管理者は、部下からの信頼を大きく損ねかねません。今回は部下のやる気を引き出し、能力を高める基本的なスキルを、演習を交えて身につけて頂きます。 (研修パンフレットより) |
日時 2006年2月24日(金) 10:00〜17:00 講師 (株)新環境経営研究所 小野木正人 主催 大阪府工業協会 会場 大阪府商工会館 |
【受講者の声】 1.今回の研修テーマで何が一番印象的でしたか? 2.ご自身にとって、得るもの、気づき等ありましたか? |
基本事項解説・ワークショップ@ |
はじめに、ビジネスコーチングの基本事項について解説が行われ、その後、自分の事をどこまで知っているかを客観的に判断する「エゴグラム」という交流分析が実施されました。 ビジネスコーチングの解説では、「コーチング」「コンサルティング」「カウンセリング」の違いを認識し、それぞれの特徴を理解したうえで、ワークショップに臨みました。 ここで一番印象的だったことは、「答えは相手が持っている」ということ。上司の中には、この点を認識していない方が多いのではないでしょうか?部下の話を聴かずに、自分の意見を押し付けたり、答えを自ら出してしまう上司が沢山いると思います。それでは部下の能力は一向に伸びません。部下を育成するためには「相手は答えと解決策を既に持っている」ということを覚えておかなければなりません。 「エゴグラム」では、自分の性格や、「コーチ」として何が足りないのかを客観的に分析しました。そして、受講生の皆さん一人一人結果が違うため、講師による結果判定や個別解説、活用方法などのアドバイスなどが行われました。 ちなみに筆者は、「慈母モード」であり、厳しさと論理性が低いため、これらの能力を伸ばす必要があると分かりました。また自由さと従順さがほぼ同じレベルだったため、このことから「自由にしたいのにできない」といった葛藤を抱えていることも分かりました。 |
ワークショップA |
ワークショップAでは、理想と現実の乖離度を測るため「心のOK牧場」というテストを行いました。理想の自分になるためには何が足りないのか、どうすれば良いのかが、このテストによって見えてきます。 また、悩む時というのは、2つの場合に分けられることが分かりました。1つは自分と「相手」を比較する時。もう1つは自分と「理想」を比較する時。これらのことから判断すると、相手とも理想とも比較しなければ悩まなくて済むのです。そんな簡単なものではない、と思われるでしょうが、これがはじめの一歩になります。悩んでいるときは客観的に自分の分析などできません。その時にこのテストを活用すると良いでしょう。現状と解決策がみえてくると思います。 そして、プラス思考の成功サイクルも大いに参考になるでしょう。いきなり理想の自分になろうとしてもどうしていいのか分からず行き詰ってしまうことがほとんどです。そういった時は、小さい目標を細切れで決めていき、実際に行動して成功体験を積んでいく、といったサイクルで考えていく必要があります。これは「コーチ」として部下を育てるためにも有効的な考え方だと思います。 |
環境設定スキル解説・ワークショップB |
ここでは、ワークショップを通して、いかに「安心できる環境」を設定するかを学びます。 まず、2人がペアになって、話せる環境が整っていない状況で会話を行いました。相手は無表情で視線も合わさず、聞いているのか聞いていないのか分からない状況では相談者は萎縮してしまい相談などできるはずもありません。このことから環境設定の重要性を学びました。 |
聴くスキル解説・ワークショップC |
次に、「聴く」スキルの学習を行いました。簡単なようで簡単でないのがこのスキルです。相手の言いたい事を最後までさえぎらずに聴くことはなかなか難しいものだと実感しました。特に管理職の方々にとっては、「言いたいこと、指示したいこと」を我慢することは大変だったのではないでしょうか。 ここで大切なことは「同じ言葉を繰り返すこと」「否定しないで最後まで聴くこと」「相手に考える時間を与える沈黙を大事にすること」「相槌をうち、促すこと」などです。特に、同じ言葉を繰り返されることによって、相談者側は、聴いてもらっているという安心感を感じます。また、タイミングよく促されると、自分の意見や考えが自然に表現でき、解決策が見えてくることも多くありました。 また、3人組になり、相談者役、コーチ役、オブザーバーと分けることによって気づきが生まれ、客観的に学習できました。 |
質問のスキル解説・ワークショップD |
質問には「クローズドQとオープンQ」「過去質問と未来質問」「否定質問と肯定質問」などがあります。全て後者の方を重点的に使っていくことが質問スキルをあげるポイントです。つまり、「はい」「いいえ」で答えられる質問より5W1Hを使った質問の方が相手の考えを深く引き出すことができるし、「どうしてできなかったの?」と過去形で聞くより、「どうしたらできる?」と聴いた方が責められている感じは受けません。また、「何でできないの?」と否定形で聞かれるよりも、HowやWhatを使って、「どうしたらうまくいくと思う?」「何がはっきりしている?」と聴かれた方が具体的に答えやすく、答えも導きやすいようです。 |
計画的な調和&一体のスキル解説・ワークショップE |
ラポール(調和・一致)をとるためには、ミラーリングやマッチング、バック・トラッキングというスキルがあることを学びました。相手の良い姿勢や状態に合わせ、相手と同じ言葉を繰り返したり、まとめたりすることによって相手との調和を取れることができます。これらのことは、相手のことをよく観察し、真剣に話を聴いていなければできないことだと感じました。最初は難しいかもしれませんが、これも「習慣化」していけば自然にできるようになるでしょう。 |
心(承認)のスキル解説・ワークショップF |
ここでは、Youメッセージと I, Weメッセージの特徴を学び、後者の重要性を認識しました。 例えば 上のメッセージは認めてもらえないだけでなく、責められている印象を受けます。これでは謝って終わり、という結末になるでしょう。しかし、下のメッセージからは愛情を感じることができ、自分の考えていることや悩んでいることも相談してみようと思えるでしょう。Youメッセージは「言う」と掛けることができ、Iメッセージは「愛」と掛けることができます。ただ言うだけでなく、愛を感じるメッセージを言えるよう気をつけていこうと思いました。 |
株式会社新環境経営研究所 研究員 近江和代