株式会社新環境経営研究所−NMR−

コーチング技術を使った部下の指導・育成 −部下の能力を最大限に発揮させる育成スキル −
(株)新環境経営研究所代表取締役 小野木正人
コーチング研修の様子
(株)新環境経営研究所 伊藤エリサ

NMR コーチング研修概要

日時 2006年7月14(金)
講師 (株)新環境経営研究所 小野木正人  伊藤エリサ
主催 大阪府工業協会

受講生のコメント

【受講者の声】

・ 「エゴグラム」の実習が興味深かった。
・ エゴグラムでわかった不足点を強化していきたい。
・ ワークショップの中で自分なりの答え(行動)が出せた。
・ 「聞くスキル」の方法が具体的で勉強になった。
・ 「答えを引き出す」=「自分で考えてもらう」ということを理解できた。
・ 「かきくけこ」のスキルがためになった。
・ 部下の話を(肯定的に)聞いていきたいと思うようになった。
・ 自己マネジメントが得られたので、自分の足りないところを見直していきたい。
・ 目標を区切って小目標に取り組んでいきたい。
・ 「YOUメッセージ」でほめるのではなく、「I・WEメッセージ」で感謝を伝えていきたい。
・ 得るもの(気付くもの)が多く、来て良かった。
・ 部下の指導、コミュニケーションのとり方を変えていきたい。
・ この研修を受けて、コミュニケーション能力が上がった。

NMR コーチング研修の内容

1.ビジネスコーチングについて

皆さんは、勤労者心の電話相談をご存知でしょうか?これは独立行政法人労働者健康福祉機構が全国20カ所の労災病院で実施している電話相談室です。この調査によると、相談件数は年々増加し、相談内容は「上司との人間関係」がトップで、2位は「同僚との人間関係」です。相談者の多くは30代で、次いで40代、50代となっています。【毎日新聞(2006年7月24日)より】

この調査から分かるように、「上司との人間関係」は業務上の「ネック」になっています。「ネック(首)」は人間にとって、非常に重要な部分であり、首が折れると死に至ってしまいます。それと同じように上司との人間関係が悪くなることによって、その人の精神状態が悪くなるだけでなく、必然的に業務にも悪影響がでてきます。

そういった状態を回避するためのスキルが「コーチング」です。コーチングスキルを身に付けることは人間関係の良好化はもちろん、社内活性化につながります。つまり、大きな枠組みで見ると、「コーチング」は企業のマネジメントシステム向上の役割も担っているのです。

『上司と部下の人間関係を改善すれば、企業全体の向上につながる』

では、具体的に「コーチング」とはどのようなスキルでしょうか?今回の研修では、講義中心ではなく、実際に体験することによって、コーチングの必要性や重要性を学んでいただきました。

 ↑ 講師の小野木正人 

2.【ワークショップ@】エゴグラム(交流分析)

講師の伊藤エリサ

     ↑ 講師の伊藤エリサ

 
「エゴグラム」の様子

   ↑ 「エゴグラム」の解説中

部下を育成するためには、まず、自分はどんな上司であるか客観的に見つめなおす必要があります。そのための手法が「エゴグラム(交流分析)」(*1)です。

「自分のことは自分が一番わかっている」という言葉をよく聞きますが、それは本当でしょうか?この分析によって、日ごろ、自分が部下にどのように接しているのかを客観的に見ることができます。

 あなたと部下の会話を思い出してみてください。
ドッチボールになっていませんか?
キャッチボールになっていますか?
一度ボール(相手の言葉)を受け止めてあげてください。
それからボール(自分の言葉)を投げ返しましょう。

もし、部下が予定より遅れて企画書を提出した場合、あなたは何と言うでしょう?

部下 : 「(おどおどしながら)企画書の提出が遅くなり申し訳あり       ません。ご確認していただけますか?」

上司A : 「何でもっと早くできなかったんだ!」

上司B : 「うん、うん・・・よくできているね。ここはこうしたほうがい        いね。で、どうしてこんなに時間がかかったのか聞か        せてくれる?何か問題でもあった?」

上記の例では、あなたは上司A、Bのどちらのタイプですか?

上司Aの言葉は部下の「ご確認していただけますか?」という依頼のボールを受け止めていません。上司の立場に立つと、何か一言言いたい気持ちも分かりますが、ここはその気持ちを「ごくっ」と飲み込んで、まずは相手のボール(言葉)を受け止めることが大切です。

そして、上司Bのように、一度相手のボールを受け止めた後、自分の言いたいことや注意すべきことを付け加えることが「コーチング」のコツです。

部下の立場からすれば、叱られるのではないかと、おどおどしながら上司のもとに行っているのに、追い討ちをかけられるように一喝されると、何も言えなくなってしまいます。そのような状態では真実をつかむ事はできませんし、部下の考えも引き出すことはできません。

部下を水面の上に引き上げ、モチベーションを上げるのも上司の役目です。決して、沈んでいる人の頭を押さえつけて苦しめないよう、注意しなければなりません。

3.【ワークショップA】心のOK牧場

次に「心のOK牧場」というテストを行いました。これは今の自分と理想の自分の乖離度をはかる心理テストです。その乖離度をはかることによって、どれだけ、自分または周りの人を認めているか客観的に理解することができます。一番良いのは、相手のことも自分のことも認めることです。しかし、そんなことはなかなかできないのが人間です。最近では、周りからは認められているのに、自分はできない、と思い込み、「うつ」になる人が多くなっています。これは相手のことは認めているけれども、自分のことは認めていない状態です。実は、講師の小野木正人も「うつ」になった経験があります。

(財)社会経済生産性本部メンタルヘルス研究所の調査によると、企業における「心の病」が年々増加しています。その原因のトップは「職場の人間関係」です。「心の病」にならないためにも、上司・部下の関係を良好に保つためのスキルを身につける必要があります。

また、悩みにはいろいろありますが、「理想の自分との乖離」が悩みの原因になることもあります。あなたは「自分はもっとできるはずなのに、何でできないのだ。こんなはずじゃない・・・」と思ったことはありませんか?このタイプの人は向上心が高いとも言えますが、精神的な負担も大きくのしかかっているはずです。重要なことは、いきなり「理想の自分」を目指さないことです。小さな目標を決め、階段を上るように一歩ずつ進んでいくことが大切です。そうして、小さな達成感を何度も味わい、自信につなげていきましょう。(→プラス思考の成功サイクル

これは、部下を育成するときにも必要な考え方です。上司として、何か「小さな目標を提供する」、もしくは部下に「気づかせる」ことも上司の役割です。

「心のOK牧場」解説中

 「心のOK牧場」解説中

4.【講義】コーチングの基本スキル
「かきくけこ」の解説中 コーチングには「かきくけこ」の基本スキルとよばれる5つのスキルがあります。
今回の研修では、それぞれのスキルを使って実際にワークショップを行いました。

『学んだことを実践してみましょう』

5.【ワークショップB】環境設定のスキル
皆さんは、人の話を聴く時、どのような姿勢・態度で聴いていますか?
あなたが上司に相談に行ったと想定してみてください。

もし、上司が腕と足を組み、つまらなそうにため息をついて話を聞いていたら、あなたはどんな気持ちになりますか?

また、上司がパソコンのキーボードをタイプしながら、「聞いているから話していいよ」と言われたら、あなたは自分が伝えたいことを伝えきることができますか?

人は「聴いてくれていない」と判断したとき、話すことをやめます。
そうなると、人の「真意」をつかむ事はできません。

         『まずは、「聴く環境」を設定する』 

     ↑ 座る位置の実践

6.【ワークショップC】聴くスキル

『聴く」:14の耳と心で聞く

   ↑ 『聴く』の解説

「聴くスキル」とは「相手の話をさえぎらずに最後まで聴く」ということです。
さえぎらず、否定せず、相手の話を受け止めることは、想像以上に難しいことです。
なぜなら、人は話すことを欲する動物だからです。

部下や友達から相談を受けている時、いつの間にか自分が話の主役になっていることはありませんか?
自分と違う意見が出ると、即座に「それは違う」と言い、自分の意見を述べはじめた経験はありませんか?

コーチングには、「物事に対する課題も解決策も相手(相談者)が持っている」という考え方があります。
相手の気持ちを引き出し、気づきを与えるために「聴くスキル」を身に付けることが重要です。

7.【ワークショップD】クエッション(質問)のスキル

質問には、大きく分けて、2種類の方法があります。1つは「クローズド・クエッション」といい、はいor いいえで答えることができる質問です。もう1つは、「オープン・クエッション」です。これは5W1Hを使った質問で、具体的な話を引き出すときに効果的です。コーチングでは、できるだけ相手の「真意」を掴むために後者の質問を多くすることが大切です。

また、「どうすればいいと思いますか?」「どうすれば問題を解決できると思いますか?」など、未来に向かう質問をすることも重要です。相談中はどうしても、問題を整理することに時間が費やされがちですが、次に進むべきステップとして、今後どうすればよいか、相手(相談者)自身、問題に対してどう思っているのか、などを聴き、問題に対する対策を考えていくことが大切です。

  『解決策を引き出すために「未来に向かう質問」をしましょう。』

「質問のスキル」実践中

   ↑ 「質問のスキル」実践中

8.【ワークショップE】計画のスキル&心(承認)のスキル
「計画のスキル」とは計画的に行動をサポートするための、「別の視点」を提供することです。「別の視点」とは、アドバイスや行動を促すための提案などです。また「私にできることはないですか?」などと確認することもここに含まれます。
そして、これから問題に対して何をするのかという「行動の約束」をしてもらうことが重要です。
『行動しなければ何も始まらない、何も終わらない』ということを心に留めておきましょう。

そして、コーチ(上司)は、相手の考えや発言、行動を承認(「心のスキル」)しましょう。

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【用語集】

(*1) エゴグラム

アメリカの心理学者J.M.デュセイが開発した性格分析法で、人の心を5つの領域に分類表示させたもの。


株式会社新環境経営研究所 研究員 近江和代