部下を育成するためには、まず、自分はどんな上司であるか客観的に見つめなおす必要があります。そのための手法が「エゴグラム(交流分析)」(*1)です。
「自分のことは自分が一番わかっている」という言葉をよく聞きますが、それは本当でしょうか?この分析によって、日ごろ、自分が部下にどのように接しているのかを客観的に見ることができます。
あなたと部下の会話を思い出してみてください。
ドッチボールになっていませんか?
キャッチボールになっていますか?
一度ボール(相手の言葉)を受け止めてあげてください。
それからボール(自分の言葉)を投げ返しましょう。 |
もし、部下が予定より遅れて企画書を提出した場合、あなたは何と言うでしょう?
部下 : 「(おどおどしながら)企画書の提出が遅くなり申し訳あり ません。ご確認していただけますか?」
上司A : 「何でもっと早くできなかったんだ!」
上司B : 「うん、うん・・・よくできているね。ここはこうしたほうがい いね。で、どうしてこんなに時間がかかったのか聞か せてくれる?何か問題でもあった?」
上記の例では、あなたは上司A、Bのどちらのタイプですか?
上司Aの言葉は部下の「ご確認していただけますか?」という依頼のボールを受け止めていません。上司の立場に立つと、何か一言言いたい気持ちも分かりますが、ここはその気持ちを「ごくっ」と飲み込んで、まずは相手のボール(言葉)を受け止めることが大切です。
そして、上司Bのように、一度相手のボールを受け止めた後、自分の言いたいことや注意すべきことを付け加えることが「コーチング」のコツです。
部下の立場からすれば、叱られるのではないかと、おどおどしながら上司のもとに行っているのに、追い討ちをかけられるように一喝されると、何も言えなくなってしまいます。そのような状態では真実をつかむ事はできませんし、部下の考えも引き出すことはできません。
部下を水面の上に引き上げ、モチベーションを上げるのも上司の役目です。決して、沈んでいる人の頭を押さえつけて苦しめないよう、注意しなければなりません。
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