株式会社新環境経営研究所−NMR−

香川県ISO14001環境マネジメントシステム環境監査員研修
香川県ISO14001環境マネジメントシステム環境監査員研修の様子
(株)新環境経営研究所 小野木正人
香川県ISO14001環境マネジメントシステム環境監査員研修の様子

香川県ISO14001環境マネジメントシステム環境監査員研修について

日時 2006年9月6(水)
講師 (株)新環境経営研究所 小野木正人  
主催 香川県庁
組織紹介

香川県は、「水と緑に恵まれた、美しい郷土香川の創造」を目指すため、環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001平成14年に取得し、行政事務の効率化、経費の節減を含め、環境マネジメントシステムの継続的改善を実施しています。
また、各種の研修を行い、職員の環境に対する意識の向上と環境配慮に向けた取組みの徹底を図っています。
さらには、ISO 14001認証取得のノウハウを県民、事業者、市町等に還元することにより、県全体の環境保全活動に役立てています。

香川県ISO14001環境マネジメントシステム環境監査員研修の内容

1.ISO14001の概要と監査の基礎知識の解説


まず、内部監査員研修を始めるにあたり、「監査とは何か」という根本問題の整理を行いました。監査の定義目的を明確にしておくことで、より効果的な監査を図ります。

また、監査の性格上、自部門を監査することができません。そのため、監査員は被監査の業務内容をよく理解しないまま監査を行うことになります。そこで最低限の準備と監査技術を身に付けることが重要になってきます。そこで、内部監査員は次のことを認識・準備しておく必要があります。

 ・ 監査の目的は、EMSの「継続的な改善」であること
 ・ 重箱の隅をつつくような監査はしないこと
 ・ ヒアリングする際、その関連事項が規格や文書類のどこに記載
   されているか、ある程度理解しておくこと 
   → 監査をテンポ良く進めることができ、有効性監査が期待できる

 ・ 監査部署・部門に関連する法規制の洗い出し
    → 社会的に「法令順守」が重要視されているため、関連する
       法規制について十分理解し、管理体制の担当・役割を明確
       にすることが必要

 

 

香川県ISO14001環境マネジメントシステム環境監査員研修テキスト

     ↑ 環境内部監査員研修資料

 

 

2.環境監査の一般的手順(監査プログラム)解説
香川県ISO14001環境マネジメントシステム環境監査員研修の様子
↑ 監査プログラムの解説中

今回は香川県庁独自の「監査実施要領」にて監査内容や実施手順などの解説を行いました。

ここで詳しくは紹介できませんが、重要なことは以下のことを記録・確認することです。

 ・ 各登録簿を確認し、進捗と変更点をチェックする

     例)「環境目的・目標監視測定計画書」
        → 法規制等は順守できているか
        → 監視測定頻度通り実施されているか

 ・ 規格に適合し、ルール通り運用されているか
 ・ 効果が上がっているか
 ・ 法的要求事項を順守する仕組みがあり、実際に順守されているか
 ・ 改善事項、指摘事項が改善されているか
 ・ 優れている点を記録

また、実地監査で注意すべきことは、質問で収集した情報は結果・記録で確認することです。口頭だけのやり取りでとどめないようにしましょう。なぜなら、記録登録簿を確認することによって、今後、不適合になるであろうことを推測できるからです。

  例)2006年8月までは基準値を超えていないが、記録を見ると、9月には基準値を超えそうだと予測 
      → 基準値を超えないように改善要求を出し、予防処置を行う

3.監査技法の解説


監査技法には以下のスキルがあります。

 ・ ヒアリング(質問
 ・ 見る(観察
 ・ 記録類などを確認する(文書・記録確認

監査では、Show me, Tel me・・・(見て聴いて)方式を活用すると良いでしょう。また、ヒアリング(質問)に関しては、以下の点に気をつける必要があります。


監査技法の解説中

      ↑ 監査技法の解説中

  ・ 5W1Hを使い、発展性のある質問を心がける
  ・ 質問の優先順位を考えておく
      → 聴きたいことがあっても時間がなくなって聴けない場合があるため

  ・ 質問は一度に1つ
  ・ データや記録を見ればわかることは質問しない
  ・ 監査員は聞き上手、話させ上手が良い
      → 問題があるなら、それを組織全体の問題とする

  ・ 議論、批判、指示はしない
  ・ よくできているところはしっかり誉める


上記のスキル以外に、監査にはチェックリストが必要です。チェックリストは、監査の質の維持・向上を図り、効果的な監査証拠を提供し、監査自体の効率アップにもなります。また、監査員の教育ツールとして活用することもできる優れものです。。

チェックリストには、このようなメリットがある反面、頼り過ぎると危険です。重要なことは「心証」を得ることなので、ただチェックリストに従ってヒアリングを進めるのではなく、「改善」を念頭に置き、柔軟に活用することが重要です。指摘型の監査から提案型の監査にレベルアップしていくように心がけると良いでしょう。

『適合性監査から有効性監査にシフトすることが大切』

4.ワークショップ1(ヒアリング実務体験)

ヒアリング実務体験

   ↑ ヒアリング実務体験の様子


午後からは、同県作成の「環境記録集」と「サイト写真集」を参考にチェックリストを作成し、ヒアリング体験を行いました。

ヒアリング体験の様子は以下の通りです。

  ・ 5W1Hを活用し、発展性のあるヒアリングを実行
  ・ データだけの情報にとどまらず、緊急事態への対応に関しても   仮説質問を組み合わせてヒアリングを行なっていた
    例)事故や故障が起こった場合、システムにどんな影響があるか

  ・ 対応の効果があったかどうか確認
  ・ 教育研修を受けた従業員の意識・行動の変化を確認
  ・ 具体策まで掘り下げて質問

総合的に見て、緊急事態への対応までを考慮に入れており、適合性監査を超えた「有効性監査」ができていると感じました。

5. ワークショップ2(監査結果発表)

最後に、監査員報告会議(クロージング・ミーティング)を行いました。流れは以下の通りです。

 @ 監査所見の説明  
 A 判定区分の説明
 B 被監査部門に事実誤認がないか確認&質疑応答
 C 監査報告終了 

ここで、大切なことは、指導・指摘はもちろん、優良事項も発表することです。内部監査の目的は前述したように「改善」ですが、その他の視点を持つことも重要です。その他の視点の対象とは「人」です。内部監査を受ける部門(人)のモチベーションをアップするためにも、良いところはしっかり誉めるように心がけることが大切です。

『理想の監査とは「被監査部門の取り組み意識が向上する監査」
雰囲気は良く、指摘は厳しく!!』


環境監査結果報告発表

  ↑ 監査結果発表会の様子

NMR セミナー情報  NMR ISO研修   NMR お問い合わせ


株式会社新環境経営研究所 研究員 近江和代